テンパリングする前の注意すべきこと5選

テンパリング方法

チョコレートのテンパリングをするためには、環境設定と事前準備が非常に重要です。適切な室温や湿度での作業、温度管理、水分対策、道具の準備が整っていれば、初心者でも美しいチョコレートを作ることができます。
私はショコラトリーで修行し、全日本チョコレートコンクールで日本2位を獲得した経験があります。そこで学んだ技術や理論を活かし、この記事ではテンパリングを成功させるための準備のポイントをわかりやすく解説していきます。

1 室温の設定

チョコレートをテンパリングするとき、見落としがちなのが室温です。実は、チョコレートは温度変化にとても敏感な食材なので、適切な環境で作業を進めることが重要です。理想的な室温は20〜22℃、湿度は60%以下が望ましいとされています。
部屋が暑すぎる場合は、正しくテンパリングしたチョコレートでも固まるのに時間がかかり、ブルームが起こりやすくなります。
逆に、寒すぎる場合にはチョコレートがすぐに固まり、作業がしにくくなります。
夏場はエアコンで部屋を涼しく保ち、冬場は過度に暖房を効かせないようにすることが重要です。
湿度が高いとチョコレートが空気中の水分を吸収してしまい、質感が変わることがあります。梅雨の時期にはエアコンを除湿モードにして調整するなど、湿度管理にも注意しましょう。

2 テンパリングするチョコレートの温度の確認

テンパリングで最も重要なのが、チョコレートの温度管理です。
テンパリングは、カカオバターを特定の温度帯で適切に結晶化させる作業で、これによってチョコレートにツヤやパリッとした食感が生まれ、滑らかな口溶けになります。
種類によって適した温度が異なるため、チョコレートごとの温度を確認しましょう。

  • ダークチョコレート:45〜50℃まで加熱し、28〜29℃まで冷やしてから31〜32℃に戻す
  • ミルクチョコレート:40〜45℃まで加熱し、26〜27℃まで冷やしてから29〜30℃に戻す
  • ホワイトチョコレート:40〜45℃まで加熱し、25〜26℃まで冷やしてから28〜29℃に戻す

クーベルチュールを使用する場合、パッケージに温度が書かれていることが多いので、それを参考にすると良いと思います。
また、植物油脂が含まれている市販の板チョコは、カカオバターの含有量が少ないため、テンパリングの手順や温度が異なります。詳しい手順は別の記事を参考にしてください。

3 道具に水が付いていないか確認

チョコレート作業で最大の敵は水です。ほんの少しでも水分が混じると、チョコレートが固まったり、ダマになってしまいます。湯煎を使う際には、ボウルの縁や底に水滴が残っていないか確認し、蒸気がチョコレートに触れないようにすることが大切です。
湯煎のお湯の温度は50〜60℃程度が適しています。これ以上高温になると、チョコレートの中の乳脂肪分が焦げてダマになる原因になります。湯煎に使用する水量も控えめにし、作業中は常に道具を乾いた布で拭くようにしましょう。

4 作業しやすい道具の準備

テンパリングをスムーズに行うためには、作業道具の準備と配置が重要です。すべての道具を手の届く場所に揃えておくことで、作業中に慌てずに進められます。
必要な道具は、ボウルやゴムベラ、温度計、湯煎用の鍋など。特に放射温度計は、正確かつ効率的に温度を測れるためおすすめです。近所のホームセンターやオンラインで手軽に購入できます。
安いものは2000円ぐらいから購入できるのでお菓子作りをよくするなら買った方が便利なものになります。

準備リスト

  • ボウル(レンジ対応の耐熱ボウルも可)
  • ゴムベラ
  • 温度計(放射温度計が望ましい)
  • 湯煎用鍋
  • ジップロックやOPPフィルムなど

5 作業終了後のチョコレートの保存方法を考えておく

テンパリングしたチョコレートを美しく保つためには、適切な保存が大切です。保存環境が悪いと「ブルーム現象」(白くなる現象)が起こり、見た目や食感が劣化します。これは急激な温度変化や湿気によって引き起こされることが多いため、保存には注意が必要です。
余ったチョコを保存しない場合はマンディアンなどを作って使いきってしまいましょう。

まとめ

チョコレートのテンパリングを成功させるには、環境整備と事前準備が非常に重要です。適切な室温や湿度での作業、温度管理、水分対策、道具の準備が整っていれば、初心者でも美しいチョコレートを作ることが可能です。
さらに、テンパリング後のチョコレートを適切に保存することで、ツヤや食感を長く保つことができ、楽しみも続きます。ぜひ今回紹介したポイントを活用して、自宅で美味しいチョコレート作りに挑戦してみてください!