電子レンジ加熱で完結!レンジ法をわかりやすく解説

テンパリング方法

手間がかかるイメージのあるテンパリングですが、実は電子レンジで溶かすだけでも簡単にできる方法があります。

電子レンジ法を使えば道具も少なく温度管理もシンプルにできるので、初心者にもおすすめです。

僕はショコラティエとしてショコラトリーに勤務していた経験があり、全日本のチョコレートコンクールで日本2位を獲得したこともあります。

そんなプロの視点からも、この電子レンジ法は自宅での少量テンパリングに最適な方法だと思います。

この記事では、電子レンジを使ったテンパリングの手順やコツ、そして注意点について詳しく解説しています。

この記事を読むと、電子レンジ法でのテンパリングのポイントが分かり、失敗しないための温度管理やチョコレートの扱い方まで理解できるようになります。

電子レンジ法とは?


電子レンジでのテンパリングは、プロでも使う機会が多くないため、マイナーな手法になります。

ですが、自宅で少量のテンパリング作業を行う場合には、とても便利な方法です。少量のテンパリングしたチョコレートが必要なときに覚えておくととても役に立ちます。

特徴とメリット

この方法の一番の特徴はカカオバターの結晶を崩さずにテンパリングすることが特徴です。手法の考え方としてはフレーク法に近いです。
工程は、電子レンジで溶かすだけで水を使わないため、失敗のリスクも少なくなります。ただし、カカオバターが完全に溶けてしまうとカカオバターの結晶が崩れてしまうので、そこだけは注意が必要です。

必要な道具と準備

電子レンジ法で使う道具は主に3つあります。

  • 耐熱容器(ガラスやプラスティック素材のもの)
  • ゴムベラ
  • 温度計

※温度計は赤外線温度計を特におすすめします。電子レンジから出したらしっかり混ぜて必ず温度を測るため、温度を測る回数が多いので、瞬時に表面の温度を測れる赤外線温度計のほうが便利です。

作業前の注意点


テンパリング作業を始める前には、必ず室温の確認と使用する道具の確認をしましょう。作業を始めてしまうとチョコレートの温度を管理しながら準備するのが大変になるため、あらかじめ作業環境と道具を準備しておきましょう!理想的な室温は20〜22℃、湿度は60%以下が望ましいです。

電子レンジ法でのテンパリング手順


電子レンジ法のテンパリングは超えてはいけない温度があります。
この温度を超えないようにレンジで加熱することでカカオバターの結晶を崩さずにチョコレートを溶かすことができます。

▪️テンパリングの際に超えないように注意する温度▪️
ダークチョコレート:34℃
ミルクチョコレート:32℃
ホワイトチョコレート:30℃
※ルビーチョコレートとブロンドチョコレートはホワイトチョコレートと同じ温度です

作業工程

  1. チョコレートをレンジで温める
  2. よく混ぜる
  3. 温度を確認する

1〜3の工程を繰り返し、チョコレートを上記の温度を超えないように溶かしていきます。
4. チョコレートの溶け残りがなく、完全に溶けた状態になったら、テンパリング作業が完了。

例:ダークチョコレートの場合

1.チョコレートはなるべく細かく砕くとレンジで溶かしやすいです。

※このぐらい大きくても問題ないのであまり神経質にならなくてもOK

2.600wで30秒加熱を2回ほど行った状態
3.ここら辺で30℃を超えてしまい、次の加熱で温度を超えてしまいそうなので
500wで10秒づつに変更しました。
4.500w10秒で2回ほど加熱してチョコレートの温度が33℃。
まだと溶け残りがあります。
少しこのまま余熱で混ぜて溶けないようなら500wで5秒づづ溶かしていきます!
5.温度が超えないように余熱を考えながら溶かしていきます。
溶け残りがなくなればテンパリング完了です。
6【備考】今回のテンパリング完了温度は32℃でした。
 チョコレートがモッタリして作業しにくい場合は33℃ぐらいまで温めて作業しましょう!

レンジ加熱の目安

電子レンジのパワーと溶かす量によって加熱時間が変わります。
かきはダークチョコレートを200gで作業した場合の目安になります。

  • チョコレートが30℃まで:600Wで30秒づつ
  • チョコレートが32℃まで:500Wで10秒づつ
  • チョコレートが34℃まで:500Wで5秒づつ

調整作業

温度が超えそうな場合は、混ぜながら温度を下げてください。

粒が残っている状態でゆっくり混ぜると自然と温度が下がってきます。

ポイントは焦らずゆっくりテンパリングする事です!

テンパリングの際の注意点

絶対に上限温度を超えないようにしましょう。上限温度を超えるとカカオバターの結晶が崩れてしまうため失敗の原因になります。

上限温度が上がりすぎた場合

  • チョコレートの粒がまだ残っている状態:よく混ぜて温度を下げる。温度が下がった状態(30℃前後)でまだ溶け残りがあれば、結晶が残っているので続きからできます。
  • チョコレートの溶け残りがない:他の方法に切り替える。
    カカオバターの結晶がチョコレートの中に残っていない可能性があるので、他の方法でテンパリングを行ってください。
    ※中に結晶が残っていないなら足してあげればいいという考え方で、フレーク法に切り替えるとスムーズのテンパリング作業ができると思います。

テンパリング成功のチェック

チョコレートが完全に溶けた状態で上限温度以下であれば、テンパリングは完了です。テンパリングが成功しているかを確認するために、少量のチョコレートをスプーンなどの金属製のものに付けて数分で固まるか確認します。
この時、いつまで待っても固まらなかったり、ブルームが起きてしまったら、テンパリングができていないことになります。
冷蔵庫に入れず、必ず常温で固まるか確認してください。正しくテンパリングされていれば、チョコレートは滑らかでツヤのある仕上がりになります。
チョコレートが固まる目安は、室温にもよりますが約5分程度です。しかし、10分ぐらい待っても固まらないようなら、テンパリングができていない可能性があるため、他の方法でのテンパリングのやり直しをお勧めします。

よくある質問

Q.レンジ法で失敗の原因は何ですか?

A.ほとんどの場合、作業中に上限温度を超えてしまい、カカオバターの結晶が崩れてしまっている状態です。この場合、2つの修正方法があります。

  1. チョコレートを45℃近くまで温めて、別の方法でテンパリングをやり直す。
  2. 今の状態に刻んだチョコレートを少しずつ加え、フレーク法のようにテンパリングを行う。
    どちらかのリカバリー方法できます。

Q.電子レンジ法の使い時は?

A.サクッと少量のテンパリングチョコが必要な時にとても便利な方法です。逆に大量に作る際は時間がかかるため、他の方法の方がやりやすいと思います。

まとめ

電子レンジを使ったテンパリング方法は、自宅で少量のチョコレートを扱いたいときに非常に便利な手法です。電子レンジ加熱のみで完結するため、作業スペースが限られている家庭でも気軽に挑戦できます。ただし、カカオバターの結晶を崩さないよう、上限温度を厳守することが成功の秘訣です。
また、作業前に道具や室温の確認を行い、温度管理を徹底することで、滑らかで艶やかなチョコレートを仕上げることができます。上手にテンパリングができれば、自宅での手作りチョコレートがさらに美味しく、見た目もプロ顔負けに仕上がります。気軽に電子レンジ法を試して、理想的なチョコ活をしましょう!