ボンボンショコラは繊細で、温度や湿度、光の影響を大きく受けるデリケートなお菓子です。保存方法を間違えると、せっかくのカカオの風味やフィリング(中身)のなめらかな食感が台無しになってしまいます。
正しい保存方法を知らずに、せっかく購入したり手作りしたチョコレートが劣化してしまうのは残念ですよね。
この記事は、全日本洋菓子コンクールのチョコレート部門で日本2位を受賞した、元ショコラティエの筆者がショコラトリーや外資系ホテルでの経験をもとに、プロ目線で解説します。
保存に適した温度や湿度、冷蔵保存時の注意点、さらには美味しく食べるための温度まで、具体的な方法をお伝えします。
また、急激な温度変化を避ける重要性についても触れています。この記事を読むことで、ボンボンショコラの美味しさを長く保つための保存方法や食べる際の注意点などがわかります。

ボンボンショコラを保存する上で大切なこと

ボンボンショコラとは?
薄いチョコレートでガナッシュ(生チョコ)やプラリネ(ナッツと砂糖を混ぜたもの)等を包んだ、見た目にも華やかな一口サイズのチョコレート菓子です。
「ボンボン」とはフランス語で「一口サイズの砂糖菓子」を意味し、その一口の中にあらゆる味やの繊細さとパティシエ、ショコラティエの技術が詰まった非常に奥深いチョコレート菓子です。
ボンボンショコラは、温度や湿度、光に非常に敏感です。保存方法を間違ってしまうと、風味やテクスチャーが悪くなってしまいせっかくのチョコレートが台無しになってしまいます。
購入したり作ったりした場合には正しい保存方法も併せてチェックするようにしましょう。
ボンボンショコラの食べる温度と保存温度
ボンボンショコラの食べる温度と保存温度はそれぞれ異なります。
| 食べる温度 | 常温(18℃〜23℃) |
| 保存温度 | 冷蔵での保存または常温12℃〜18℃前後 |
そのため基本は冷蔵庫で保管し、食べる前15分〜20分ぐらい常温に戻して食べるのが一般的になります。
常温で食べてほしい理由
- カカオの風味が引き立つ
食べ物の香りは冷たいものより温かいもののほうがより香りを感じられます。
チョコレートも同様で冷えているものより常温の方がカカオの香り(アロマ)がより感じられます。
また味覚に対しても影響があり、チョコレートが冷えているとカカオの酸味や苦味が常温の時より強く感じることがあります。
そのためショコラティエは常温での温度帯で最高にカカオの良さを引き出せるように計算して作っています。
味覚 | 温かい(40~50℃) | 常温(15~25℃) | 冷たい(10℃以下) |
甘味 | 最も感じやすい | 自然な甘さを感じやすい | 弱く感じる |
酸味 | まろやかになり、控えめに感じる | バランスよく感じる | 鋭く際立って感じる |
苦味 | 和らぎ、控えめに感じる | 穏やかに感じる | 強く感じる |
保存温度が少し低い理由
ボンボンショコラの外側のチョコレートが溶けてしまう可能性があるためです。
チョコレートの主成分であるカカオバターは28℃から溶け始めてしまいます。
チョコレートが少しでも溶けてしまうと元には戻らなくなってしまうので絶対に解けない温度で保存する必要があります。
その為、冷蔵庫や涼しい環境下での保存をお勧めしています。
※チョコレートを保存する際には本来であれば15℃前後の室温で一定の温度で保存することがベストになりますが、寒い地域以外では中々難しいと思うので一般の家庭では冷蔵庫保存をオススメしています。
急激な温度変化は避ける
チョコレートを冷蔵庫から常温に出す際に温かい部屋に出してしまうと結露してしてしまう場合があります。
結露してしてしまうとブルームが起きてしまいチョコレートの劣化に繋がってしまうため注意が必要です。
そのため常温に出す際には涼しい部屋で常温にもどすようにしましょう!
保存場所の選び方
常温保存が適している場合
気温が18度以下などの冬場は、常温で保存が可能になります。その場合には、暖房をつけない部屋でなおかつ直射日光が当たらない場所で保存しましょう。
上記の条件が満たない場合には、冷蔵庫での保存をおすすめします。
冷蔵保存の場合
冷蔵庫の中でも、主に野菜室などの1番温度が高いエリアに保存するのがおすすめです。また、ワインセラーを持っている方は、ワインセラーで保存するのが最もチョコレートの状態を良く保つ方法になります。
冷凍保存は可能か?
購入したボンボンショコラは、自宅で冷凍保存することは基本的にはできません。
バレンタイン時期以外なら作りたてを販売しているお店も多くありますが、繁忙期の場合、冷凍保存して解凍して販売しているお店もあります。
一度解凍したものを再冷凍すると、風味や食感が著しく悪くなるため、賞味期限内での保存がおすすめです。
※自作の場合、中のフィリングが冷凍可能であれば冷凍保存が可能です。冷凍したものを解凍する際は、冷蔵庫で一晩解凍した後、常温に戻して食べるようにしましょう。
保存の注意点
購入したボンボンショコラは、箱ごとジップロックに入れてしっかり密閉し、冷蔵庫に入れるのがおすすめです。他の食品の匂いが移らないようにするため、密閉が必要となります。
チョコレートは特に匂いを吸収しやすい食品なので注意が必要です。
自作のボンボンショコラや袋入りのものは、タッパーなどに入れて保存するのが良いでしょう。
ボンボンショコラを美味しく食べるための注意点
ボンボンショコラは購入後、期限に関わらず早めに食べるのがおすすめです。カカオの風味は日が経つにつれて少しずつ失われていくため、早めに食べることでその風味を十分に楽しむことができます。
※筆者の主観で何回も食べ比べないとわからないほどの些細な変化ですが食品である以上、早めに食べた方が美味しいのは間違いないと思っています。
まとめ
ボンボンショコラの美味しさを保つためには、保存温度や湿度の管理、急激な温度変化を避けることが重要です。
適切な保存環境を整えることで、風味や食感を長く保つことができます。
保存温度は15℃〜18℃が理想的ですが、家庭では冷蔵庫の野菜室を活用するのがおすすめです。
食べる際には、冷蔵庫から取り出して15~20分常温に戻すことで、カカオの香りやフィリングのなめらかさを存分に楽しむことができます。