テンパリングは、チョコレート作りにはために欠かせない重要な工程です。
正しい温度管理や湿気対策そして適切な道具の使い方が、作業に大きく影響します。
チョコレートはデリケートな素材であり温度や湿度の管理が正しくない場合はブルームの発生や風味の劣化が起こります。
自宅でのテンパリングには不安を感じる方も多いかもしれませんが、コツを押さえれば成功率も上がります。
僕はショコラティエとしてショコラトリーで勤務していました。
また、全日本のチョコレートコンクールで日本2位に輝いたこともあります。
この記事ではテンパリングをする際に考えることやどのほうほうを使えば良いのかがわかります。
テンパリングとは?
テンパリングとは、チョコレートを温めたり冷却したりしてチョコレートの中のカカオバター(カカオに中に含まれている油脂分)の結晶を整える作業のことを言います。
カカオバターの結晶を整えることによって、チョコレートにはたくさんのメリットがあります。
・チョコレートに綺麗な光沢が出る
・滑らかの口溶けになる
・パリッとした食感を作れる
・保存性が良くなる
これは板チョコでも同様のことが言えます。
カカオ豆からチョコレートにする際にも必ずテンパリングの作業をします。
テンパリング作業が必要かどうかは材料を混混ぜる(ムースや生チョコなどを作る)
かどうかで判断します。
チョコレートのみで固める時はテンパリングが必要です。
テンパリングをせずに固めるとブルームが起きたり、チョコレート自体が劣化してしまいます。
劣化したチョコレートを再びテンパリングを取ることで見た目上はきれいなチョコレートになりますが人間の舌は皆さんが思っている以上に敏感なため
なんか美味しくないなと感じるものが出来上がってしまうこともしれません。
ですのでチョコレートの状態を考えるとテンパリングがとれている状態で保存する必要があります。
そのため溶かしたらテンパリング作業することになります。
それほどチョコレートにとってテンパリング作業はなくてはならないものです。
テンパリングに必要な道具
自宅でテンパリングするためには下記の道具が必要です。
- ゴムベラ
- ボール
- 温度計
この3つがあればテンパリング作業ができます。
温度計は初心者の人ほど放射温度計をおすすめします。
チョコレートは1℃違うと全く違う状態になってしまい、瞬時に複数の場所の温度を測ることが多いです。
また、タブリール法などでは薄く広げるため芯温と表面温度が一緒の場合が多いので放射温度計の方が便利です。
テンパリングはどんな作業をするかによって必要な道具が異なります。
そのため作業に必要なものをイメージしておくことが大切です。
一般的に下記を準備しておくと比較的スムーズに作業できあると便利です。
- パレット→チョコレートを伸すのに使います。
- 抜き型→チョコレートを型抜きします。
- OPPフィルム→チョコレートに艶を出したいときに使います。(ジップロックで代用が可能です。
- 金属製のスプーン→テンパリングのチェックに使います。
- ドライヤー→チョコレートの温度が下がってきた時に温めるのに使います。
テンパリングの基本手順
テンパリングの作業は大きく分けて3つの1工程があります。
1.チョコレートを溶かす作業
チョコレートを溶かす際に重要な事は、カカオバターを完全に溶かす事です。
カカオバターの溶け残りがあるとダマになったり、温度を下げた時に結晶過多になりやすくきれいにテンパリングが完了しない原因になります。
またはチョコレートに含まれる粉乳の量を考えて溶かす事です。
チョコレートの中に含まれる粉乳はとても焦げやすい為、高温で溶かすのは厳禁になります。
チョコレートの種類によって溶かす温度が違うのはこの粉乳の量が大きく関係しています。
特にホワイトチョコレートは粉乳がたくさん入っているので、溶かす際には温度に気をつけましょう!
2.チョコレートを冷やす
チョコレートを冷やすことによって結晶をバラバラになったカカオバターの結晶を整えます。
またチョコレートの温度を均一に下げます。
カカオバターは冷やすことで固まるため急速に冷やしてしまうと溶けている部分と固まっていある部分ができてしますため不均一な状態になってしまうため注意が必要です。
冷やす温度もチョコレートのの種類によって違います。
チョコレートによって含まれるカカオバターの含有量が違うためです。
3.チョコレートをを少し温める
チョコレートを冷やしたでけでも一応結晶は整ってテンパリングができています。
ですがこのままだったらチョコレートの温度が低すぎてテンパリング後の作業がやりにくいので、カカオバターの整えた結晶が壊れない程度に作業性を良くする意味で温度を少し上げる必要があります。
作業温度は1℃〜2℃程度幅があるためテンパリング直後は低い温度に合わせます。
チョコレートがオーバーテンパリング(テンパリング直後からモッタリしてきたら)チョコレートを温める際に高いほうの温度に合わせると結晶をコントロールしやすくなるため作業しやすくなります。
テンパリングの3つの方法
テンパリングには、主に『水冷法』 『タブリール法』 『フレーク法』の3種類の方法があります。
水冷法
専門学校などでテンパリングの中でもっとも基本的な方法になります。
湯煎でチョコレートを溶かし、氷水でチョコレートの温度を下げ、湯煎でチョコレートを温める方法です。
メリット
・少ない道具でテンパリングすることができる
・200g〜1kgぐらいまでと幅広い量でテンパリング作業をすることができる
・温度コントロールがしやすいため失敗をしにくい
デメリット
・水分の混入に注意が必要(湯煎の水蒸気も気をつける必要があります。)
・量が多いと時間がかかる
・逆に少なすぎると温度管理が難しい
体感的にですが自宅でテンパリングするなら水冷法をしている人が多いためインターネットに一番情報が落ちている方法かもしれません。
ですが水分が入ってしまうリスクがとても大きいので私は基本的にはおすすめしていないのが現状の考えです。
タブリール法
タブリール法はフランスで昔からよく使われる方法です。 チョコレートを溶かして大理石などの冷たいテーブルの上に流して薄く広げたりまとめたりして冷やしていく方法になります。
ショコララティエやパティシエが一番よく使います。
メリット
・チョコレートを早く均一に冷やすことができるので、カカオバターの結晶が綺麗に作れる
・水を使わずにテンパリングすることができる
・300gから10kg辛いまでと幅広い寮に対応できる
デメリット
・コツをつかむまで練習が必要
・oppフィルムや大理石など準備するものが多い
・少量のチョコレートの場合すぐに温度が下がってしまうため難しい
チョコレートは水が大敵なため水を使わずにテンパリング何できるのが最大のメリットになります。
また慣れてしまえばダブリール方が一番テンパリングが早く正確にできる為、チャレンジして見る価値は十分あると思います。
フレーク法
フレーク法は カカオバターの結晶完全に溶かしたチョコレートの中に結晶が整っているチョコレート(溶かす前のチョコレート)を加えて後から加えたチョコレートの 結晶を元にテンパリングする方法です。
温度の上げ下げの工程が少なく、溶かしたチョコレートにフレークを入れてそれで混ぜたらテンパリング完了になります。
メリット
•温度の上げ下げが他のテンパリング方法より少ない
•少しもったり仕上がる
•使う道具が少なく取り組みやすい
デメリット
•チョコレートを刻むのが面倒
•オーバーテンパリングしやすい
•大量のテンパリングには不向き
板チョコでも可能ですが、板チョコには植物油脂が入っていることからでクーベルチュールとテンパリング温度が異なります。
以上がテンパリング種類と方法です。
チョコレートが同じでもテンパリング方法によってチョコレートの流動性が変わってきます。
チョコレートをコーティングしたい場合などはタブリール方法でサラサラに仕上げる。
クッキーのディップやマンディアンを作りたいなら少しもったり仕上げる必要があります。
用途によってテンパリング方法を使いわけましょう!
テンパリングを成功させるためのコツ
テンパリングをする際に成功率を上げるためには下記の3つを意識しましょう!
『室温』 『湿気(水分)』 『チョコレートの温度管理』です。
室温
自宅でのテンパリングの適温は22℃〜26℃です。
少ない量でテンパリングをする場合、チョコレートがすぐに冷えてしまうため注意が必要です。
また室温がすごく高く30℃などで作業する場合、中々チョコレートを冷やすことができずカカオバターの結晶ができない状態になります。
お菓子作り全般に言えますがチョコレートを扱う際は特に注意する必要があります。
湿気(水分)
水と油は分子構造が違うため基本的には混ざらないです。
チョコレートはほとんど油脂でできているため水分が大敵です。
チョコレートに水分が混じってしまった場合はテンパリング作業はすることができなくなってしまうため特に気をつけて作業することが必要です。
水分が入ってしまうパターンとしては大きく分けて2パターンあります。
1,湯煎の水蒸気がチョコレートにあたってしまう場合
チョコレートを湯煎する際はラップをするもしくはチョコレートが入っているボールより一回り小さい鍋でお湯を沸かす。
などの対策で防ぐことができます。
2,道具(ボールやゴムベラに水滴が付着していた場合
チョコレートを扱う時は必ず乾いた道具を使うようにしましょう!
また洗った後にすぐ使いたい場合はいつもより念入りに道具を拭くように心がけましょう。
上記の2点を気をつけるだけで水分の混入を大幅に防ぐことができます。
チョコレートの温度管理
温度管理とはチョコレートを狙った温度にする又は狙った温度でキープする事です。
チョコレートの温度が1℃狙った温度からずれてしまうと状態がかなり違ってきてしまうため、正確に温度を測るのが重要になってきます。
そのため、テンパリングをする際は温度計が必ず必要になります。
安いものでもいいので、温度計は必ずテンパリングを取るときには、用意するようにしましょう。
テンパリングに関するQ&A
Q,板チョコでもテンパリングが必要?
A, カカオバターが含まれているものに関してはテンパリングが必要です。
チョコレートには国際規格と日本規格2種類があります。
お菓子でよく聞くクーベルチュール国際規格に該当します。
クーベルチュールチョコレートの条件(一部抜粋)
- 総カカオ固形分35%以上
- ココアバター31%以上
- 無脂カカオ固形分2.5%以上
色々書いてありますが要は厳しい基準をクリアしたチョコレートのみがクーベルチュールと名乗ることができます。
ではスーパーなどでよく見かける板チョコはどうなのか?
結論から言えばクーベルルチュールではありません。
そもそも板チョコはそのまま食べても美味しくなるよう&リーズナブルにチョコを楽しめるように植物油脂や添加物が使用されています。
そのためクーべルチュールと比べるとカカオバターの含有量が少なくことが多いです。
だからといってテンパリングをしなくても良いというわけではなく、板チョコの中にもカカオバターは含まれるので
テンパリング作業をする必要があります。
Q,プロのチョコレートレシピは板チョコでも作れる?
A, 作れないことは稀だと思うが同じにはならない
プロの場合は十中八九クーベルチュールを使用しています。
クーベルチュールと板チョコを同じレシピで作った場合に一番の違いは固まり方が違います。
(味が違うというツッコミは一旦無視してください・・・)
チョコレートの固まり方は何で決まるかというとカカオバターの量で決まります。
※カカオバターの結晶を残しながら作る方法もありますがマニアックなためここでは割愛します。
カカオバターの量が数ないとそれだけ固まる力が弱くなるため板チョコを使う場合にお菓子が柔らかくなる傾向にあります。
『本当はダークチョコレートだけどミルクチョコに変えてしまおう』なども同じことが言えます。
じゃあクーベルチュールを使っていそうなレシピを板チョコで作れないかと言うとそうではなく、同じにならないが
少し柔らかいけど冷蔵庫でしっかり冷やせば大丈夫なものや、ムース等ならゼラチンなどの固まる役目のものを少し増やしてあげる等で
対策をしてあげれば大丈夫です。
どのくらい増やすかなど離れが必要かもしれませんが…
Q,テンパリングをする際にどのくらいのチョコレート量がやりやすい?
A,テンパリングの方法により異なります。
あくまで目安になりますが下記のようなイメージになります。
量が少ない時はフレーク法で量が多い時はタブリール法おすすめです。
まとめ
テンパリングは、チョコレート作りにはために欠かせない重要な工程です。
正しい温度管理や湿気対策そして適切な道具の使い方が、作業に大きく影響します。
チョコレートはデリケートな素材であり温度や湿度の管理が正しくない場合はブルームの発生や風味の劣化が起こります。
自宅でのテンパリングには不安を感じる方も多いかもしれませんが、コツを押さえれば成功率も上がります。
この記事のポイントを参考にチョコレート作りに生かしとみてください!