『溶かしたチョコレートが固まらない』時はここを確認

テンパリング方法

「テンパリングしたのに、なんだかチョコレートが固まらない…」そんな経験ありませんか?
せっかく手間をかけたのに、思い通りにいかないとガッカリしますよね。実は、チョコレートが固まらないのにはいくつかの理由があります。
それさえ分かれば、次からは失敗を防ぐことができます!
チョコレートが固まらない原因は、主に3つに分類されます。
それは、室温が高い、テンパリングの失敗、そして油脂分の配合量です。
これらはどれもチョコレート作りの初心者だけでなく、経験者にも起こりがちな問題です。

チョコレートの固まり方は、作業環境や原材料の選び方に大きく影響されます。特に、適切な室温やカカオバターの結晶化状態が整っていないと、固まる力が弱まってしまいます。また、配合バランスを間違えると、理想の仕上がりにはなりません。

僕はショコラティエとしてショコラトリーで勤務し、全日本のチョコレートコンクールで日本2位を獲得した経験があります。

その中で、たくさんの成功と失敗を経験してきました。その経験から、失敗の原因とその対策についてしっかりお伝えできると思います。

この記事では、チョコレートが固まらない主な原因を詳しく解説し、具体的な対策方法をご紹介します。

この記事を読むと、室温やテンパリングの失敗を防ぐ方法、そして油脂分の配合を工夫するポイントが分かります。

テンパリングが固まらない主な原因

テンパリングをした時にチョコレートが固まらないことがありますが、その原因は主に3つです。

⬛︎チョコレートが固まらない原因⬛︎
1つ目:室温が高い
2つ目:テンパリングの失敗
3つ目:プラリネなどを作る際に固まらない油脂を3割以上添加

※油脂には固まる油脂と固まらない油脂があります。
 ここでは常温で固体か液体かで分けて説明しています。
 固まらない油脂の例:サラダ油、太白ごま油など
 固まる油脂の例:バター、パーム油など

室温が高い

チョコレートにとって室温が重要な理由

自宅でチョコレートを扱う時、適切な温度は22℃〜25℃をお勧めしています。
必ずしもこの温度で作業しなければならないわけではありませんが、22℃より低い場合、チョコレートがすぐに固まってしまいます(特に冬場には注意が必要です)。
25℃より高い室温で作業した場合、チョコレートの温度が下がりにくくなり、テンパリング作業が難しくなります。

プロの現場ではクーラーを20℃に設定し、もう少し涼しい環境で作業していますが、自宅でテンパリングをする際にはチョコレートの量が少ないため、周りの温度変化の影響を受けやすく、プロの現場以上に室温を気にする必要があります。また、室温が高い状態ではテンパリングができているチョコレートも固まりません。

チョコレートが固まらない状態で長時間放置すると、整えたカカオバターの結晶が崩れ、テンパリング作業をしていない状態と変わらなくなってしまいます。

室温が高い時の解決策

チョコレートの作業をする前に室温を確認するようにしましょう。
夏の場合には冷房と扇風機で調節し、冬の場合には弱めに暖房をつける場合もあります。また、室温が下がらず、どうしても高い状態で作業をする場合には、チョコレートを固める際に冷蔵庫を活用しましょう。

ただし、その場合、チョコレートが結露しないように短時間で冷やしたり、密閉容器に入れて保存するなどの注意が必要です。

テンパリングが失敗している

テンパリングが失敗していると、チョコレートが固まりにくくなります。
※もう少し正確にいうと、チョコレートの固まりが遅くなり、固まった際にブルームが起きます。

テンパリングが失敗している場合、チョコレートが固まらなくなることがあります。
※もう少し正確に言うと、チョコレートの固まりが遅くなり、ブルームが発生した状態で固まります。

テンパリング作業を行ったのに固まらない原因としては、以下のことが考えられます。

作業温度が高すぎる

最終的な作業温度が高すぎると、テンパリング作業で整えたカカオバターの結晶が壊れてしまい、テンパリングができていない状態になります。
また、適正な作業温度でも撹拌が足りない場合、結晶ができている部分とできていない部分が生じ、テンパリングが失敗し、固まらなくなります。
温度を上げすぎず、しっかり撹拌することを心がけましょう!

冷却温度が適切でない

テンパリング作業を終え、いざチェックしてみたら、チョコレートが固まらないということもあります。
これは、テンパリング中に十分に冷却されていない場合、カカオバターの安定結晶が不足するためです(いわゆるアンダーテンパリング)。
結晶が整えられていないと、絡む力が弱くなり、常温で固まらなくなります。チョコレートの温度を適切に下げることも重要です。

油脂分を3割以上配合している

プラリネやクリスピーショコラが固まりにくい理由として、油脂分の配合量が関係しています。

カカオバターの特性

チョコレートの大半はカカオバターでできています。カカオバターは常温で固体のため、チョコレートを固める力を持っています。
しかし、チョコレートにサラダ油やナッツの油など、常温で液体の油が入ると、固まる力が弱くなります。
ナッツの割合が多いチョコレートバーやコーティングチョコレートを作る際には注意が必要です。

配合量の目安

チョコレートに含まれる常温で液体の油脂の割合が全体の3割を超えると、固まらなくなることが多いです。
ダークチョコレートの場合は3割が目安となることが多いですが、カカオ分によって異なります。
ホワイトチョコレートのようにカカオバター含有量が少ないものは、さらに少ない油脂で固まりにくくなります。

油脂分が多い場合の工夫

配合バランスを見直し、クーベルチュールを使用したレシピで板チョコを使うなど、チョコレートの種類やカカオ分を調整することをおすすめします。
また、カカオバターを追加して固まる力を補ったり、常温で固体のバターを添加する方法も効果的です。

まとめ

チョコレートのテンパリングが固まらない主な原因は以下の3つです。

⬛︎ここがポイント⬛︎
1,室温が高いと適切な温度管理ができず、テンパリングしたチョコレートが固まりにくくなる。
2,テンパリングの失敗していると適正温度を守らない、または撹拌不足により、カカオバターの結晶が整わず固らなくなります。
3,常温で液体の油脂を3割以上配合 固まる力が弱まり、チョコレートが固まりにくくなる。

これらの問題を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  • 作業環境や温度を事前に確認する。
  • 配合バランスを見直し、適切な材料を選ぶ。
  • 必要に応じてカカオバターを追加し、固まりやすくする工夫をする。

失敗を防ぐための工夫を取り入れながら、理想のチョコレート作りを楽しんでください!